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卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)症状 病気

卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)アウトライン

疾患名卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)
らんそうがんふくむりょうせいらんそうしゅよう
発病頻度*
初診に適した科婦人科
初期診察-急性期治していますに
適する医療機関
総合病院-大学病院-特殊専門病院-探求機関病院(大学病院)
安定期-慢性期治していますに
適する医療機関
総合病院-大学病院-特殊専門病院-探求機関病院(大学病院)
入院の不可欠性診察や一場合的治しています(手手段など)のために不可欠
薬物治していますの規準病状、病期、治しています方針により大きく異入る
手手段の割合原則的に不可欠
治しています期間の規準-予後

(予測される病気の推移や治していますに対する動作)

病気の進行度などにより治癒の期間-割合が大きく異入る
診察-経緯観察に
不可欠な検査
血液-尿-単純レントゲン-超音波検査(エコー検査)-CT検査-MRI-生検(細胞診を含む)

卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)概説
 卵巣は体の中で、最も色々な種類の腫瘍が発生する臓器です。腫瘍は、その性状から卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ:中身が液体のみ)と充実性腫瘍(細胞が増殖して堅くなっている部分がある)に分類されます。嚢腫は基本的に良性です。漿液(しょうえき)性(中身がさらっとした液体)、ムチン性(中身が粘液)、子宮内膜症によるチョコレート嚢胞(中身が古い血液)、皮様(ひよう)嚢腫(中身が脂肪、毛髪、歯、汗腺、甲状腺、神経等)などがあります。嚢腫のほうが充実性腫瘍より数の上からは圧倒的に多くなっています。しかしながら、それは医師が診断するものであり、卵巣が腫れていたら、できる限りガンを専門にしている医師に診察を受けるようにして下さい。なぜなら、医師の選択によってあなたの寿命が極端に変わってくるからです。良性腫瘍は若い女性に多く、閉経後の卵巣腫瘍は悪性をまず疑わなければなりません。 一方、卵巣に発生する悪性腫瘍は病理学的に、3種類の場所から発生します。いわゆる卵巣ガン(表層上皮間質性悪性腫瘍)は、卵巣の表面を覆う上皮または上皮直下の結合組織から発生します。これが全卵巣悪性腫瘍の85%を占めます。その他に、卵胞内に存在する生殖細胞から発生する胚細胞性腫瘍(10%)と、卵胞または黄体部分から発生する性索間質性腫瘍(5%)の2種類の悪性腫瘍があります。いわゆる卵巣ガンは、20歳前後から70歳まで幅広い年齢層で発生します。胚細胞性腫瘍は卵子由来ですから、患者さんはほとんど10代後半から30代前半です。性索間質性腫瘍の大半は更年期以降に発生します。ここでは、まず表層上皮性-間質性腫瘍を卵巣ガンとして述べて、その後に残る2つの腫瘍について概説します。 婦人科領域では、卵巣ガンは子宮頸ガン、体ガンに次いで頻度が高く、予後は婦人科ガンで、最も不良といわれています。 先述したように、子宮は頸部、体部(子宮内膜)の両方とも、外界から到達可能な臓器であり、早期にガンに伴う情報(出血など)を得て、婦人科受診のきっかけを得ることが可能です。また、医師は細胞-組織を容易に採取でき、いわゆる無症状の女性の検診も容易にできます。 一方、卵巣は体の中に位置しており、臓器から直接、細胞-組織を採取することが困難です。また卵巣は左右に2つ存在するため、1つがガン化して機能が喪失しても、もう一方が健常であれば月経周期なども正常であり、卵巣ガンの初期では機能も正常、症状もなく、早期診断が困難とされています。診断時、約半数の患者さんがIII~IV期です。つまり、卵巣ガンでは子宮頸ガン、内膜ガンのような0期のガンは存在せず、I期も少ないことから、全体の予後が不良となっています。 治療は、腫瘍(肉眼的な腫瘍だけでなく、顕微鏡レベルの転移も含めて)をいかにして完全に摘出するかにつきます。そのための補助手段として、化学療法があります。手術の術式、化学療法の投与方法(薬剤の選択、投与量、実際の投与法など)、両者の順序(手術が先か、化学療法が先か)など、両者の組み合わせをいかにうまく行うかで、患者さんの予後(寿命)はまったく異なります。1)卵巣ガンの分類とその特徴(薬に対する反応性の違い) 卵巣ガンは組織型が多彩であり、それぞれ性質が異なります。同じ卵巣ガンといっても、組織型が異なると、別の治療法を考えなくてはならないほどです。とくに、化学療法の鍵を握るシスプラチンの効き具合には極端な差があります。[1]漿液性腺ガン 卵巣ガンの40~50%を占めます。平均腫瘍径は7(5~12)cm。35~60代に多くみられます。欧米の卵巣ガンの75%は漿液性で、卵巣ガンの治療方針は、この組織型を標的にして考案されています。卵巣ガンの中で最も進行が早いガンです。リンパ節転移の頻度も高く、I期の30%は後腹膜(主に傍大動脈)リンパ節に転移しています。化学療法では80%以上の患者がシスプラチンに反応します。そのほか、ドセタキセル(商品名:タキソテール)、パクリタキセル(商品名:タキソール)、カンプトテシン、アドリアマイシン、エピルビシンにも40~50%以上反応します。[2]移行上皮ガン 卵巣ガンの5~8%を占めます。平均腫瘍径は8(6~12)cmで、好発年齢は30~60代です。この型を正確に診断できる病理医が少なく、多くは「漿液性」と診断されています。性質(生物学的行動)は大体漿液性と同様ですが、シスプラチンに対する感受性が最も高く、シスプラチン併用化学療法に対する効果はほぼ100%で、漿液性より予後は良好です。III期でも完治する場合がまれではありません。[3]類内膜腺ガン 全卵巣ガンの10%を占めます。平均腫瘍径は12(8~16)cm。20~40代に多く、60歳くらいまでに発症します。子宮内膜症が前駆病変です。シスプラチンとアドリアマイシン(またはエピルビシン)によく反応し、これら2剤を含む化学療法に対して90%以上の効果を示します。進行は漿液性よりも遅く、I期でのリンパ節転移率は2%程度で、卵巣ガンで最も予後が良好なタイプです。[4]明細胞腺ガン 平均腫瘍径は13(7~20)cm。日本に特徴的に多いガンで、全卵巣ガンの25~30%を占めています。好発年齢は20代から40代です。類内膜腺ガンと明細胞腺ガンは、1980年代から増加し続けています。その理由は、日本人女性が出産しないことと低用量ピルを服用しないことです。類内膜腺ガンと同様に明細胞腺ガンも子宮内膜症から発生します。出産回数の減少とピルの未使用→子宮内膜症の増加→卵巣明細胞腺ガンと類内膜腺ガンの増加、という図式で現在も継続的に増えています。類内膜腺ガンとの違いは2つあります。リンパ行性転移をきたしやすいこと(I期でも15~20%に後腹膜リンパ節転移を認めます)とシスプラチン、タキサン化合物を含む化学療法に対してまったく反応しないことです。よく教科書に「アグレッシブで進行が早い」と記載されていますが、進行は決して早くはありません。Ic期を含めて、完全手術ができた症例の予後は他の組織型と同様に良好です。ただし、抗ガン剤が効かないので、不完全手術をして腫瘍を少しでも残した場合、他の組織型に比べ予後は不良です。卵巣ガンは化学療法が治療上重要な役割を持っていることは事実ですが、このタイプに関しては、とくに手術の技術が高く、卵巣ガンの生物学的行動 (性質)をよく理解している医師に診療を受けることが、運命の分かれ道になるでしょう。[5]粘液性 全卵巣ガンの5~10%を占めます。閉経以降に多くみられますが、10~20代の若年でもまれではありません。進行が最も遅く、2/3はI期です。明細胞腺ガンと同様に、根治手術ができる医師に治療を受けられればI期はほぼ100%完治します。しかしながら、明細胞腺ガンと同様にシスプラチンをはじめとする化学療法に感受性がなく、手術でガンが残った場合、治癒は困難です。進行が遅いので、診断されてから焦らず、手術における技術の高い医師を探すことが最も大切です。[6]混在型 卵巣ガンの5~10%は上記組織型の混在型を示します。手術、化学療法は、混在する部分の量の多少よりも、より性質の悪い組織型を考慮して行われるべきでしょう。卵巣ガンの治療は、手術、化学療法に加えて、病理組織の知識に詳しい医師にかかることが鍵となります。2)卵巣ガンの好発年齢-発生頻度 欧米では閉経前後より急増し、50~60歳代にピークがあるといわれています。しかしながら、最近の日本では、20~40歳が最多で更年期以降を上回っています。とくに子宮内膜症から発生する明細胞腺ガンと類内膜腺ガンの好発年齢は、20歳前後から40歳までとなっています。 日本人の生活様式の欧米化に伴い、卵巣ガンは絶対的に頻度が増加しており、最近30年間で約7~8倍になっています。米国では現在、毎年25,000人が卵巣ガンと診断され、12,000人が卵巣ガンで死亡しています。これを出生女児の数で換算すると、女性の70人に1人が生涯に卵巣ガンに罹患し、100人に1人が卵巣ガンで死亡することになります。日本でも同様に考えて良いと思われます。3)卵巣ガンの危険因子 卵巣ガンは「継続した排卵」が原因と考えられています。排卵(卵巣から卵が飛び出す)してできた卵巣の表層上皮の傷が治る過程で、成長因子(ホルモン)の過剰な分泌、およびこの因子に対する過剰な反応から、表層の上皮細胞が異常増殖し、ガン化の方向へ進むと考えられています。 実際、排卵回数が少ないほど卵巣ガンの発生率が低いというデータが得られています。その意味で、多産と低用量ピルの長期(10年以上)服用は、卵巣ガン予防につながります。以下に、教科書に記載されている危険因子を列挙します。[1]排卵回数が400回または排卵年数が40年を超えた女性(とくに連続している場合)。すなわち、不妊、未産婦、初産年齢が35歳以上、閉経が遅い(52歳以後)などは要注意。[2]母、姉妹が卵巣ガン。卵巣ガンの家族発生は約5%。[3]肉、動物性脂肪の過多摂取。4)卵巣ガンの防御因子 出産しなくとも妊娠を経験すること。すなわち、その間排卵しないことが危険率を低下させます。[1]低用量ピルの使用 低用量ピルは、体内と同じ構造のエストロゲンと合成のプロゲステロンが少量、錠剤に含まれています。月経開始直後から服用すると、それぞれのホルモンの濃度が通常の1/5程度(5~20pg/ml)に下がります。エストロゲンが低濃度になることで、子宮内膜症、子宮筋腫の予防になり、また排卵がないことが卵巣ガンの予防になります。低用量ピルは病気を防ぎ、なおかつ女性らしさを保つぎりぎりの濃度に設定されています。大雑把にいって、低用量ピルを服用していれば、感染症(腟炎、クラミジア、子宮頸ガンなど)以外の婦人科の病気はほとんど予防が可能です。こんな便利なものはないでしょう。 ピルと乳ガンのリスクに関しては議論が混乱しています。理論的には、低用量ピルを服用することにより、エストロゲン濃度が服用前より下がれば乳ガンのリスクは減少しますし、上がればリスクも上がります。したがって、若い女性が服用すればリスクは下がり、更年期以降の女性が服用すればリスクは上がると考えられます。しかしながら、乳ガンにかかった女性では、術後にGn-RHアゴニスト(リュープリン、ゾラデックス、スプレキュアなど)により閉経状態にする必要がありますから、低用量といえどもピルは禁忌(きんき)です。もちろん、何もしないことはもっと悪いことです。[2]多産と授乳 3回以上の出産は卵巣ガンのリスクを減少させます。5)卵巣ガンの進行期 進行期分類の目的は、予後が進行期に依存し、治療法を個別化することにあります。概略は以下の通りです。 I期 : 卵巣に限局。 II期 : 骨盤内に進展。 III期 : 腹腔内に進展(ガン性腹膜症)または後腹膜リンパ節転移。 IV期 : 遠隔転移。 この分類には問題があり、原発病巣が卵巣に限局し(I期)、小さなガンが後腹膜リンパ節に転移した場合、腹腔内に無数のガンが存在するのと同じIIIc期になります。当然後者のほうが予後は不良です。前者は大体II期と同様の生存期間です。現在の進行期分類には、このような問題も含まれているのです。6)卵巣ガンの予後因子 それでも最も重要な予後因子は、手術によって決定される進行期です。5年生存率は、I期:90~95%、II期:60~70%、III期:30~40%、IV期:10~15%です。これを正確に決定するためにも、初回の手術は万全でなければなりません。期別では以下のようになっています。 I期 : 組織学的分化度、手術の根治性(残存腫瘍の大きさ、数)、癒着。術中の破裂は予後に関係しないと報告されています。 II~IV期 : 手術の根治性(残存腫瘍の大きさ、数)、化学療法の効果、組織学的分化度、全身状態。
症状
 卵巣ガンは「silent disease(サイレントディジーズ)」といわれています。すなわち、片側の卵巣にガンが発生しても、反対側の卵巣が健常であれば、年齢相応の性機能が維持されるため、日常の性機能に関する異常が生じません。また、ガンが発生した卵巣は、5~6cm以上に達しないと違和感、疼痛(とうつう)などの症状が出現しません。 したがって、Ia期の初期では無症状か多少の下腹部違和感(便秘のような感じ)程度です。腹水が500ml以上貯留してくると下腹部膨満感が出現します。多くは、この状態でIIIc期まで放置されます。腹腔内の病変ですから、不正出血はありません。●卵巣ガンの進展様式 卵巣ガンは「腹膜の病気」ともいえます。主病巣が長期間腹腔内に限局しているからです。以下に転移経路を示しますが、最も大きな特徴は原発腫瘍が増大しても、血行性転移による遠隔転移が極めて少ないことです。[1]直接浸潤 卵巣ガンが卵巣の表面に顔を出し(浸潤し)、連続性に卵管-子宮、さらに骨盤腹膜(II期)へと進展していきます。[2]播種(はしゅ) 卵巣ガン細胞が卵巣の表面から腹腔内へこぼれ落ち、腸の蠕動(ぜんどう)によりガン細胞が腹腔内へ広く進展します。これが生着した場合、いわゆる腹腔内播種(ガン性腹膜炎)という状態が成立します。[3]リンパ行性 原発巣と反対側の卵巣への転移はリンパ行性と考えられます。また、後腹膜リンパ節に高頻度(I期卵巣ガンで15~20%)に転移を生じます。[4]血行性 まれです。肺転移の多くは、骨盤、傍大動脈、縦郭リンパ節を経由して起こります。
診断
1)早期発見のための「スクリーニング」(集団検診および外来診療) 子宮頸ガン、子宮体ガンにおけるような細胞採取による集団検診はありません。専門医による経腟超音波検査で腫瘍および腹水の有無は容易に診断できます。腫瘍が悪性か良性かの鑑別も90%以上の症例で可能です。卵巣ガンに詳しい医師によれば、組織型の診断も不可能ではありません。経腟超音波を駆使すれば、子宮頸ガンにおける擦過細胞診に近い精度で検診可能です。婦人科診察において経腟超音波は必須の検査であり、経腟超音波検査が含まれていない婦人科の診察は配慮に欠けているといわざるをえず、受けないほうがよいでしょう。[1]触診 婦人科による内診で見つかる腫瘍は、4cm以上に達しています。良性か悪性かの鑑別は困難です。腫瘍の存在、性状を経腟超音波で見極めた後、腫瘍の可動性や、腹膜への浸潤等を調べるために内診が行われます。[2]細胞診a)膣内や子宮頸部の細胞診 ホルモン産生腫瘍や卵巣ガンが、すでに膣や子宮に浸潤している場合は、細胞診でも発見される場合がありますがまれです。一般的には、膣や子宮頸部の細胞診で卵巣ガンは診断できません。b)子宮内膜吸引細胞診 子宮内膜ガン(子宮体ガン)の検診に用いる吸引細胞診で、卵巣ガン細胞が卵管を経由して採取される場合があります。その場合、Ic期以上のガンが存在することになります。c)腹水細胞診 進行期の患者さんの腹水を採取すると、卵巣ガン細胞が採取され、診断可能です。[3]腫瘍マーカー:かなり信頼できます。 -CA125 : 漿液性、類内膜腺ガンで高値を示します。明細胞腺ガンではほとんど上昇しません。35U(ユニット)/ml以下が正常とされていますが、厳密には20U/ml以下でしょう。上限はありませんが、漿液性では3,000~10,000U/mlに上昇することもまれではありません。CA125は腹水(良性でも)、子宮内膜症でも上昇します。 -CEA : 粘液性腺ガン。喫煙でも上昇します。 -CA199 : 粘液性腺ガン。良性腫瘍(皮様嚢腫)。膵(すい)臓、大腸ガンでも陽性。 -SCC : 成熟奇形種の悪性転化 -AFP : 胎児性ガン。卵黄嚢腫瘍。 腫瘍マーカーとは、ガン細胞がつくりだすタンパクで、ガンの種類によりマーカーも異なります。ただし、ガン以外でも高くなることがあるので、医師から十分に説明を聞くことが大切です。卵巣ガン診断、治療の経過判断にも役立ちます。保険診療で1回/月までの制限があります。[4]MRI 卵巣腫瘍組織や腫瘍内容液の質的診断、周辺組織への浸潤-転移の有無を知ることができます。手術の摘出範囲を決定するために不可欠です。[5]CT 腫瘍の性状判断はMRIに劣ります。リンパ節転移の有無に関しては、CTがまさっています。[6]腹腔鏡検査 腫瘍を腹腔鏡下で生検できます。試験開腹と同様の情報を取得することができます。2)治療後の「フォローアップ診断」(再発の早期発見) 外来受診は、すべての進行期で最初の6カ月は毎月診察します。I~II期はその後2~3カ月ごとに5年間フォローアップ。III~IV期は1~2カ月ごとに3年間フォローアップ。3年後は3カ月ごとに5年までフォローアップ。5年後は6カ月ごとが原則です。もちろん、個々の症例に応じて期間は調整されます。※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。

卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)標準治療
1)良性卵巣腫瘍 実はこの項目は不自然です。なぜならば、卵巣腫瘍はお腹の中の腫瘍ですから、手術で摘出する前に良性と確定診断できていないからです。したがって、「良性」の可能性が極めて高い腫瘍と考えて下さい。本来、良性であれば手術の絶対的適応にはなりません。確定診断ができないからこそ、良性と思われていても手術をする場合が多いということです。 良性腫瘍で手術をする場合、あるいは良性であったが手術を受けてよかったというのは、手術という治療手段によってしか症状(苦痛)を改善できない場合か、悪性の可能性が高い(否定できない)場合です。以下に具体的に述べます。[1]腫瘍内容が液状の場合 内容物が漿液性(さらっとした水のような液体で漿液性嚢胞腺腫〈しょうえきせいのうほうせんしゅ〉と呼びます)、あるいは粘液性(ねばっとしていて粘液性嚢胞腺腫と呼びます)の場合、ガン化する確率は低く絶対的手術適応はありません。しかしながら、薬物療法もありません。3~6カ月ごとのフォローアップを行います。自然に消失するか、生涯そのままかのいずれかです。 内容物が血液の場合は、90%以上子宮内膜症(チョコレート嚢胞〈のうほう〉とも呼びます)です。その場合、血液と凝血塊のみで充実(肉様)部分がなければ、まず薬物療法を行います。ただし、8~10cm以上の場合は、破裂し激しい疼痛(とうつう)を生じる可能性があり、手術で腫瘍のみを摘出する核出術を治療の第一選択としても間違いではありません。7cm以下なら、まずGn-RHアゴニスト(リュープリン、スプレキュア、ゾラデックスなど)で閉経療法を行います。治療期間は腫瘍の大きさ、その他病状(子宮筋腫の合併、骨盤内内膜症の状態など)により異なりますが、保険の適応期間は6カ月です。5~7cmでは、6カ月以上の期間が必要です。この場合に保険適応のもとで治療を続けるには、医師と相談の上、工夫が必要です。[2]腫瘍内容が充実性の場合 常に悪性か否かの鑑別が重要になります。悪性の可能性が否定できない場合は手術になります。その場合、腫瘍のみ核出するか、患側の卵巣ごと切除するかは医師と相談の上決定されます。ただし、核出は腫瘍を破らないことが原則です。 充実性で最も頻度が高いのは奇形腫です。奇形腫には良性(成熟奇形種)と悪性(未熟奇形腫)があります。両者を術前に鑑別するのは不可能です。診断される年齢は10代後半から30代がほとんどです。発見されたら手術が原則となります。その理由は2つあります。1つめは卵巣腫瘍が捻(ねじ)れて激しい腹痛を引き起こす(卵巣腫瘍の茎捻転〈けいねんてん〉)ことがあるからです。何の前兆もなく突然生じるので捻転の予防は不可能です。2つめは、35歳以上の成熟奇形腫の1%がガン化(成熟奇形腫の悪性転化)します。悪性化した奇形腫は通常の卵巣ガン(上皮性悪性腫瘍)よりも予後は不良です。これら2つの理由から、緊急性はありませんが、20代で発見されたら1年以内に腫瘍の核出術を受ける必要があります。35歳以上では、発見され次第早急に手術を受けるべきでしょう。 その他、良性の充実性腫瘍には、良性なのに胸水が貯留する(腫瘍摘出後自然に消失する)繊維腫、女性ホルモンを産生する莢膜(きょうまく)細胞腫があります。両者は更年期以降に発生します。経腟超音波では鑑別はつきませんが、形態的に卵巣ガンでないことは容易に判断できます。また、これらの腫瘍は子宮筋腫と誤診されることがあります。[3]腫瘍径の大きさ 卵巣腫瘍は大きさよりも内容が重要です。ただし、5~6cm以上では、腫瘍内容が充実性の場合は手術(腫瘍の核出か患側の卵巣摘出)が原則です。 いずれにしても、卵巣が腫れていて「良性でしょう」といわれたら、主治医から納得いくまで説明を聞いて、厳重にフォローアップを受けて下さい。2)悪性卵巣腫瘍(卵巣ガン)-Ia期 年齢が35~40歳未満で妊孕(にんよう:妊娠すること)性温存を希望する場合は、手術時、腹腔内を十分に観察して、患側の卵巣以外に転移がないことを確認した上で、患側の卵巣を摘出して、ガンでない反対側の卵巣、卵管と子宮を残します。この際に、大網は切除しても妊孕性に影響ありません。また、技術の卓越した医師による後腹膜(傍大動静脈リンパ節廓清)を行うことも妊孕性に悪影響を与えません。摘出した卵巣ガンの病理診断で分化度が不良である(G3)ときは、基本手術を受けることを勧めます。それでも妊孕性を温存したい場合は、化学療法を行って臓器を温存する方法もオプションになります。専門医と十分相談することが重要です。-I(40歳以上)~IIc期 手術で腫瘍を完全に摘出することが可能です。標準手術は、単純子宮全摘+両側付属器切除+大網部分切除±リンパ節生検、とされています。手術後は化学療法を、ガンが進行しない限り4週間隔で6サイクル行います。化学療法の標準レジメンは、タキサン化合物(パクリタキセル、ドセタキセル)とプラチナ化合物(シスプラチン、カルボプラチン)の併用か、サイクロフォスファミド、アドリアマイシン、シスプラチン(CAP)のいずれかです。5年生存率はI期で90%、II期で60~80%です。-III~IV期 一般には、不完全でも手術(術式の規定はありません)でできるだけガンを取り除き、ガンの量を少なくしてから上記標準レジメンによる化学療法を6サイクル行います。この場合、5年生存率は、III期で30%、IV期で10%となっております。 著者らのグループでは、IIIc、 IV期の卵巣ガンで抗ガン剤(シスプラチン)が効くタイプ(漿液性、移行上皮、類内膜腺ガン)の場合、手術の前に化学療法(シスプラチン併用化学療法)を4~6サイクル先行し、その後に拡大手術(準広汎性子宮全摘+両側付属器根治的切徐+大網全摘出+骨盤-傍大動静脈リンパ節廓清+他臓器合併切除)を行うという治療法を行っています。一般の方法(手術後に化学療法)と逆に化学療法を手術に先行するという意味で、先行する化学療法をネオアジュバント化学療法といいます。ネオアジュバント後に完全手術ができる患者は80%です。この場合、5年生存率は60%以上に改善されます。※「標準治療」は診療活動をする専門医により行われている一般標準的な治療法の解説です。厚生労働省や学会で作成した「ガイドライン」そのものではありません。
※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。

卵巣ガン(含む良性卵巣腫瘍)生活上の注意
 卵巣ガンの予防のためには低用量ピルが有用です。その他検診を受ける以外に生活上の注意はありませんので、ここではQ&A形式で解説します1)卵巣ガンに放射線療法は有効か? 無効です。明細胞ガンの再発予防に有効という報告もありますが、期待しないほうがいいでしょう。2)手術と抗ガン剤の順序はどちらを先行すべきか? 手術を徹底的に行うと、臓器の周囲の血管をくくることになります。そうすると、抗ガン剤を点滴静注しても、くくられた部位には薬が届きませんから、抗ガン剤はガンのないところばかりに流れてしまいます。したがって、手術後は(とくに、手術で摘出した範囲が広いほど)、抗ガン剤は効きにくいということになります。抗ガン剤が効く組織型(漿液性、移行上皮、類内膜腺ガン)であれば、化学療法を先行してその後に手術を行うほうが予後がよくなる可能性があります。3)抗ガン剤の治療の副作用について 最近、抗ガン剤の副作用を抑える薬が急ピッチで開発されています。例えば、白血球減少、貧血、嘔気(吐きけ)-嘔吐に対しては確実に効く薬ができました。ないのは、血小板減少、神経障害、脱毛、倦怠感を解消する薬です。また、著者らのグループでは、薬の投与法も工夫していますから、副作用は以前よりはるかに改善されました。決して恐ろしい治療ではありません。とくに、最も使用頻度の高いシスプラチンについては、著者自身が分割投与法(1日で投与する量を5~7日で投与する)を開発し、副作用を軽減、効果を高めることに成功しました。 いずれにしても、以前より、安全で確実な効果が得られる方法で、Ib期以上では必要不可欠な治療法と理解して下さい。4)現在行われている標準化学療法は何か? 日本の治療は、基本的に米国の治療法をそのまま受け入れています。米国では化学療法は基本的に外来で行われます。その条件下で最も頻度の高い化学療法は、パクリタキセルとカルボプラチンの併用です。しかしながら、この方法は外来で行うのに適した方法であり、ベストなレジメン(薬剤の種類と量)ではありません。他臓器のガン治療のデータから、プラチナ製剤では、シスプラチンのほうがカルボプラチンより抗腫瘍効果が高いことが明らかにされています。著者らは、シスプラチンをベースにした化学療法(イフォマイド、エピルビシン、シスプラチン:IEP、またはドセタキセル、シスプラチン:DP)によりカルボプラチン併用化学療法で無効になった患者さんにも効果をあげています。化学療法のベースをシスプラチンにするかカルボプラチンにするかは、婦人科領域における最大の課題と思われます。5)卵巣ガンでセカンドルックは必要か? 以前は全例に行われていました。第1回目の手術後に化学療法を5~6コース行い、その後にお腹を開けて効果をみる(ガンが残っていないか)という、第2回目の開腹術のことを「セカンドルック」といいます。治療効果に影響しないことから、最近では診断目的のセカンドルックは行われません。化学療法で残ったガンを摘出するために、第2回目の手術を行うことは意味があります。■■その他の腫瘍ガン■■ その他の腫瘍(できもの)ガンとしては、以下のガンがあげられ、初期症状としては無症状、時におりものの増量がみられます。[1]外陰ガン(Vulvar Cancer) ほとんど例外なく閉経後に発生します。-症状 初期には、外陰部のかゆみがみられます。目でみえ、さわれる腫瘍が外陰部にできたら婦人科を受診して下さい。単なるおできと思って放置し、進んだ状態で病院に来られる患者さんが多くみられるので、注意が必要です。-標準治療 手術で外陰部を中心に広範囲に切除します。一般的な放射線照射は粘膜への障害が強く、あまり勧められません。抗ガン剤はかなり有効です。[2]膣ガン(Vaginal Cancer)-症状 極めてまれなガンです。不正出血が起こり、進行すると出血は連日止まらなくなります。-標準治療 手術が一般的です。[3]卵管ガン(Carcinoma Of Fallopian Tube) これもまれなガンです。卵管ガンは組織型が漿液性で、取り扱いは漿液性卵巣ガンとまったく同じです。-症状 不正出血、あるいはさらっとしたおりもの(水溶性帯下〈たいげ〉)が持続的あるいは時々起こりますが、子宮頸部、子宮体部のガン検診でガンが発見されない時に卵管ガンを疑います。そういう症状のある方は、経腟超音波と子宮内膜吸引細胞診を受けておけば正確に診断してもらえる可能性が高くなります。しかし、この病気を確実に診断することは極めて困難です。-標準治療 手術が一般です。放射線は無効です。手術後、再発率は高いですが、再発予防には抗ガン剤は有効です。合計5~6コース受けることをお勧めします。※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。


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